2016/10/30

ディーラーへの就職 向いている人、向かない人

「自動車の営業ってどうやったらなれるんですか?」

そんな質問をインターネット上で時々見かける。
ハッキリ言おう。何も特別なことなんて無い。大卒の肩書を持った人間で、ごくごく平均的な人間なら大抵の場合採用される。離職率の高い業界ゆえ、出る門が広いぶん、入口も広いのである。

2016/10/23

カルロス・ゴーン氏の三菱自会長就任について

三菱自動車の新会長としてカルロス・ゴーン氏の就任が報じられたのは、今月19日のことである。燃費不正問題で揺れる三菱自が、新体制でどのように生まれ変わるのか、個人的にも注目すべき話題だとおもう。

ところで、カルロス・ゴーン氏については、とかく"コストカッター"や"高給取りの代表格"といったイメージばかりが先行しがちだが、それは極めて一面的な評価にすぎない。特に車両の性能や品質を下げて、黒字化の反動を顧客に転嫁しているなどというのは、全く的外れな意見と言っていいだろう。
低迷期の日産自動車は、とにかく悲惨の一言で、商品力低下の一方で、購買コストだけは高止まりという不思議な状態が長く続いていた。(北米でのブランドイメージの牽引役であるフェアレディZが、長らく放置されていたのを覚えている方も多いだろう)。全コストの6割を占める購買コストの問題は、当時の日産がやたらと独自の品質基準を重視したことや、サプライヤーの多くが日産社員の天下り先であり、コスト提言の働きかけが十分に行えなかったことが原因である。特に後者の問題は深刻で、ゴーン氏以前の数度にわたる改革案は尽く骨抜きにされてしまっていた。驚くべきことに他社より20~40%高い部品代を払いつつ、系列会社専用の会員制クラブは使い放題という状態で、儲からない、車が売れない、などと言っていたわけである。
かくして外部からバッサリとメスを入れられることになった日産は、現在ではルノーも含めたグループ全体で世界4位の規模となった。このあたりの経緯はもっと世間に知られるべき事柄であると思う。


2016/10/16

日産 セレナ 試乗記

いよいよ自動運転だ!と、鳴り物入りで登場した新型のセレナ。早速試乗する機会を得たので、感想を記そうと思う。
試乗車のグレードはハイウェイスターGである。



エクステリア
ファミリーカーらしく、至ってシンプルで癖がないデザインである。だが、先代と比べて十分なリフレッシュがなされていると言っていいし、メッキの面積を増やすことをデザインだと勘違いしている車に比べれば、ずっと良い出来であると思う。個人的にはアリなデザインだ。

インテリア
まず運転席に着座すると、メーターパネルが今時感満載の液晶パネルになっていることに驚く。大型のナビとパーキングブレーキのスイッチ等もよく纏まっており、車両価格を考えれば全体的に質感は良い方だろう。
視界設計についてはメーカーが謳っている通り良好だと思うが、前傾したフロントガラスのためか、やや前方の景色が遠く感じるのが気になる。
肝心の室内空間の使い勝手についてだが、ボディ全体のパッケージングはほぼ先代と同じであり、相変わらず低床にはなっていない。ただ、三列目シートの可動範囲は大きくなっているし、着座姿勢もそれほど無理のない形に収まっている点はさすが。シートの操作そのものも簡単に行える点が良い。

嬉しい機能
今回の新型から追加された機能の一つに「上下分割式リアゲート」がある。これはゲートのガラスウインドウ部分だけを開閉できるようにしたものだが、このお陰で狭い場所での開閉が容易になった他、ラゲッジスペース置いた物を荷崩れさせずに小物の出し入れができるようになっている。重いリヤゲートの開閉に辟易している奥様方は試してみる価値有り。ホンダのワクワクゲートとはまた違った方式だが、両方を比べてみるのもいいだろう。
またグレード別設定だが、ハンズフリーオートスライドドアの存在も面白い。これは車体下に足を差し入れるだけでスライドドアを開けることができる機能で、両手が塞がっているときに威力を発揮する。

走行性能はどうか
走り出して真っ先に気付いたのは妙なブレーキフィールだ。最初の信号で停止した際、制動力の立ち上がりが悪くドキッとさせられた。単純にこの車に慣れていない、というのもあるのだろうが、もう少しリニアな操作感が欲しいところだ。
乗り心地については特に気になる点もなく、全体的にソフトで快適である。サスペンションのセッティングは絶妙なところで、コンフォート寄りではあるが、ふらついて走行中に支障が出るようなことはなかった。
一方で加速感についてはガッカリな出来、と言わざるをえない。ある程度は予測していたつもりだったが、想像以上のモッサリ感である。交通の流れに乗って、まったりと走っている間は静粛性もそこそこで快適なのだが、いざ坂道などで加速しようとすると唐突にエンジンの回転数が上がり、ガサツなエンジン音が響いてくる。このあたりの性能を重視する人は、試乗の際にじっくり吟味しておいたほうが良さそうだ。

"自動"とは言えなかったプロパイロット
プロパイロットも今回初めて装備されたもので、「高速道路での一車線に限っては自動運転が可能に」などの前評判もあって期待していたのだが、その実態はレーンキープ付きのACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)の延長線上のものと言うべき代物であった。
実際に使ってみると、前述の加速の悪さもあって、前走車に置いて行かれることもしばしば。ハンドル操作のアシストについても、キツめのカーブではカクカクと断続的に操作しているのが分かるほどで、未だ過渡期的装備であるとの印象を拭えなかった。この種の装備の先駆的なものとして、スバルのEyeSight ver.3があるが、そちらのレーンキープの方が幾分丁寧な操作であるように思う。
とは言うものの、長距離走行の補助として有ると助かる装備であるのは間違いないし、このクラスに導入した事自体が意義のあることだとも言える。

総評
パワー感の無さだけは同クラスの競合車と比較しても歴然としているので、特に他メーカーからの乗り換えや、エルグランド等からのダウンサイジングを考えている人は十分な試乗を行うことをおすすめする。
それ以外の部分については価格以上の水準を持っており、ファミリーユースに限ってみれば非常によく出来た仕上がりと言える。先代同様に息の長いモデルになりそうであるから、今後の装備の発展にも期待したい。



2016/10/08

BMW 318i SEDAN 試乗記

ついにBMWが3気筒を積む時代になったか……。そう思いつつもディーラー営業氏(私の父の担当者)からの誘いにホイホイと釣られてきたので、早速感想を書こうと思う。車両自体はモデル後半であるので、エンジン以外については特に述べないこととする。



エンジン諸元
直列3気筒1.5Lターボ
136ps/4,400rpm
22.4kgm/1,250rpm-4,300rpm

第一印象
今回の試乗は一般道での0-60km/h前後の速度帯で実施。
まず、アクセルを踏んで動き出す瞬間は、思いのほかスムーズでストレスを感じない。低速から十分なトルクを発揮するエンジンのためか、優秀な8ATのためか、非常に扱いやすいのだ。これには良い意味で期待を裏切られた感じだ。もちろん大昔のターボ車のごとく、ある回転数から唐突に車が前に押し出されるようなこともなかった。通勤や買い物等、一般道での日常利用では全く問題のないパワーである。今回の試乗では試せなかったが、日本の峠道でも、パワーを使い切れる分、楽しく走れるのではないかと思う。

でも3気筒でしょ?
"4気筒に比べれば、サウンドやフィーリングは劣るんだろう"と、言う意見もあるだろう。それはそうだ。でなければ余分な金を出して320iを買う意味がなくなってしまう。しかし、「軽四と同じ形式」だとか「安かろうの手抜き品」だとか言った指摘は的を射ていないと言える。BMWとしてこれはこれでアリだな、といえるくらいの仕上がりにはなっているというのが私の感想だ。
国産の300万円台のセダンには4気筒2L NA(おおよそ150psくらいか)にCVTをくっつけたモッサリな代物もあるが、それこそ安普請であって、318iほどの満足は得られないだろう。

ネガな部分
非常に単純かつ明快な欠点が一つある。それは、ボディ、サスペンション、その他諸々がよく出来ているせいで、結局はパワーに満足できなくなるという点だ。先に述べたように日常での走行には全く支障がないのだが、高速のランプウェイや合流でグッと踏み込んだときに"ニヤリ"と来る感触が無いのだ。
こういうダウンサイジングだのエコだのといった話題が出ると、決まって多気筒大排気量を古典的かつ時代遅れとする言説が出てくるのだが、私は今しばらく古典派の枠に留まりそうである。



2016/10/01

営業の一日とは

多くの人にとって、ディーラーのショールムに立ち寄る回数は年数回、しかも商談でもなければ比較的短時間ということが殆どであろう(いや、イベントごとに必ず来ているぞ、という方には感謝)。営業マンが普段何をしているのか疑問に思われている方のために、大雑把ながら一日の流れを記そうと思う。



一日の始まり
まず早朝に出社すると、ショールムの清掃や試乗車の洗車が始まる。もちろん社会の常で下っ端新人は一番乗りしなければならない。殆どの場合、試乗車は洗車機に放り込むのだが、背の高いSUVは拭き上げに手間がかかるので大変だったのを覚えている。
店舗の準備が終われば朝礼だ。ラジオ体操をして、社訓唱和。どこにでもありそうな光景である。
ここで拠点長からの有り難い?講話と前日の成績発表が行われ、売れてない営業にとってのプレッシャーとなる。

いざ外回りへ
外回り、と言っても新聞や住宅の営業のように、個人宅へ上がり込んで行う"飛び込み"は殆ど行われなくなっている。基本的には既存客へのアフターフォローと土日の"決戦"に向けての種まき活動がメインとなる。
一番時間を取られるのが、点検の引取納車だ。平日に車を預かって点検して欲しいという客はかなり多い。職場へお邪魔するか、自宅に居る奥さんからカギを預かって帰ってくる。この時、客先の駐車スペースを見渡して、他社の車が止まっていないか、車検はいつか、等をさり気なくリサーチするのも重要な任務である。また、家人が車の所有者でなくとも、十分なコミュニケーションを取って顔を売ることも大事だ。時間調整の下手な人間は、この引取納車が単なるお使いか時間の浪費と化してしまい、結果的に売れない営業になってしまう。

点検以外にも・・・
点検の終わった車を返し終わっても、点検の案内や、登録関係の書類作成、保険の勉強会など、平日の業務は山ほど残っている。
突然、昔名刺を渡した新規客が店頭に現れUターンなどのハプニングもしばしばである。予定の立て難さ、という点で車の販売の右に出るものはないだろう、と私は勝手に思っている(笑)

一日の終りとその後
昼間の活動が終わり、店舗に帰還しても業務は終わりではない。迷惑時間ギリギリまでは電話という営業手段が残されているし、新車の納車を控えていればその準備もしなければならない。定時で終わることはほぼ無いと言っていいだろう。そこから先に何時間の残業が待ち受けているかは、販社と拠点長の方針次第である。幸いに私が一番お世話になった方は家庭第一主義であったし、会社のシステムも時間制限付きであったので、理不尽な長時間労働は皆無であった。「上司より先に帰るとは何事か」というオーラを纏った昭和の残滓に使われている同業者諸君には同情を禁じ得ないが……。(もっともこの業界に限った話ではないのだが)